行政書士べっちゃく事務所

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仕事の流儀

仕事の流儀

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有名な 漫画「ゴルゴ13」の主人公は世界を股に掛ける殺し屋です。

1968年にビッグコミック誌で連載が始まって以来、今なお根強いファンが多い理由の一つには、彼の「仕事の流儀」が万人の憧れであることが挙げられます。すなわち彼は、依頼人から用件しか聞かず、値引き交渉にも応じることなく、全額先払いで報酬10万ドル以上の仕事をさらりと受注するのです。「漫画だから」といってしまえばそれまでですが、常日頃より上司や顧客から理不尽な要求をつきつけられてばかりいる世の男達(女性もですが)にとってみれば、誰もがこのようにして仕事を取りたいと願うのではないでしょうか。

しかしその裏には、受けた依頼は必ず成功させる「顧客満足度100%」のサービスがあり、それは超一級の技術とどのような状況に陥っても感情に左右されない精神の強さによって生み出されるのです。

これは我々行政書士にとっても、備えておくべき重要な資質であることは間違いないでしょう。

とはいうものの、率先して法を守るべき立場にある者が、いくらなんでも殺し屋を見習うわけにはいきません

・・・というより、それ以前に40も半ばを過ぎた大のおとなが漫画をお手本にしてはいけません。

では現実の社会にこうした‘お手本’は存在するのでしょうか。

ここで真っ先に頭に浮かぶのが、NHKのテレビ番組「のど自慢」の審査員です。

この番組自体は、日曜午後の、のんびりゆったりほのぼのした緩い雰囲気に満ち溢れていますが、こと歌の採点に関しては、審査員は極めて非情です。90歳を過ぎた老婆が持てる力を振り絞り、どれだけ一生懸命歌っても、音程が外れたらカネは一つしか鳴らしません。たとえ合唱部に所属する可憐な女子中学生が途中までは完璧に歌えていても、緊張のあまり少しでも声がうわずればその時点でせいぜいカネ二つ。

「それでもおまえは人の子か!」と思ったことさえあります。

反対に、何も考えてなさそうなチャラチャラした大学生でも、歌が完璧ならばそれだけでカネは全部鳴ります。

まさに理不尽ともいえる非情さですが、仮にこれを責めたとしても、おそらく審査員氏は眉一つ動かさず「俺は音にしか関心がない。」などと冷静に答えるのでしょう。やはり彼も超一級の能力(音感)を持つ優れた仕事人なのです。

そんな彼らを見ていると、一流の仕事というものは、雑念にとらわれず作業のみに集中してこそなしうるもののようにも思えてきます。

では行政書士も一流の仕事をするためには、こうした超人達を真似るべきなのでしょうか。

この点、「ある程度までは」と私は思います。確かに、申請書の作成といった技術面では彼らのような冷静さも必要でしょう。

しかし、我々の業務の大部分は、顧客の感情に共感してこそ成り立つものであることを忘れてはなりません。詐欺被害による内容証明の作成では、依頼者の「騙された悔しさ」を胸に秘め、許認可の申請では社長と一緒にハラハラしながら許可証が出るのを待ち、遺言書の作成に当たっては、遺言者が人生を振り返るとき、傍で静かに付き合います。行政書士は多年にわたり、「手」ではなく「心」で書類を書いてきたのです。そのためにはむしろ「上手く感情に左右されること」さえ必要ではないかと思うのです。

とか言いつつも、値引き交渉にはいつも負かされてしまうので、やっぱりゴルゴ13には憧れています。

別役 良

 

 

 

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